“結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです”
2017年に公開されたゼクシィCMのキャッチコピーです。ご覧になった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ネット上でも大絶賛されて、大変話題になっていましたよね。
かくいう私も、このキャッチフレーズには悶絶しました。
私が夫に知り合ったのは、人生初の失恋から立ち直りかけ、心機一転「私の人生を歩もう」と決めた頃でした。こんな言い方をすると大変前向きだったように聞こえますが、実態は「もう失うものも何もないし、親も今ならまだ元気だし、人生をゼロからやり直すなら今しかない。ええい、どうにでもなれっ」という感覚でした。会社を辞め、大学院入試を受け、合否待ちをしている頃だったと思います。また恋愛はしたいけど、私は恋愛には向いていない…結婚なんてできない。一人で生きていくなら突拍子のないことをしたっていいじゃないか。一人で生きていくための武器を持ちたい。そんな気持ちもあって決めた大学院受験でした。まさに、「結婚しなくても得られる幸せ」を獲得するために頑張っていた頃だったのです。
そんな時に出会った夫と、私は結婚しました。
結婚しなくても幸せになれたかもしれません。結婚しないほうが、もしかしたら再スタートを切った学生としては早く成果をあげられたかもしれません。でも、結婚してよかった。結婚してまだ2年も経っていませんが、この気持ちは一瞬たりとも変わっていません。
じゃあどうしてそう思えるのか。今のところ結婚してよかったことしか思いつかないのですが、中でも私が特に「よかった」と思っていることについてまとめてみたいと思います。
①家族が増えたこと
まだ恋人同士だった時からお互いの育ってきた環境や両親や兄弟のことをよく話していましたが、その段階から「雰囲気がうちの実家にそっくり」と思っていました。そのため結婚前から私は夫の家族に会うのが楽しみでした。実際会ってみたら、想像通り実家とそっくり!家の散らかり具合や親と下の兄弟たちのやりとり、食器の扱い方、リビングでの過ごし方、様々なことが慣れ親しんできたことと同じで、初めての夫の実家だというのに緊張することもなく、本当の実家のようにリラックスできました。こういったケースは稀なのかもしれませんが、この家庭で育った夫だったから惹かれたんだなぁと思いました。
これほどにまで近い環境の家庭があるんだ、と感動するのと同時に、結婚してこの人たちと家族になれるんだ…!と、嬉しくなったのを覚えています。結婚した今も、物理的距離があってなかなか会えませんが、時々LINEで話したり、少なくとも年に1度は4泊か5泊ぐらいまとめて泊まりに行っています。
とはいえやはり元々は他人ですから、煩わしく思ったり複雑な思いになることもあるかもしれません。でも、大好きな夫を産み育ててくれた義両親と弟妹たちです。親戚もみんな親切。新しい家族が私を大切にしてくれているように、私もみんなを大切にしていきたいなと思っています。
②見える世界が広がったこと
私の夫は建築関係の仕事をしています。恋人同士の時から、どこかに出かけるとコンクリートのひび割れやらネジの形状に興味を持って、色々な角度から写真を撮ったりしていました。遠くに見えるビルを指差して「あれが◯◯」と教えてくれたり、誰も気にしないような柱について、なぜそれがそこにあるのかを熱く語ってくれたりしました。
例えば電車の窓から外を眺める時、私はいつも空や雲、川、木など、自然の風景ばかり見ていました。そこに建物があっても、視界に入っているだけで見てはいませんでした。ところがある日、建物と空のコントラストが目に留まりました。その瞬間、私は自分の世界が一気に広がったように感じました。文字通り、見える世界が広がったのです。
これは一例ですが、夫と一緒にいることで私はモノの見方が豊かになったと感じます。人は人とのつながりの中で多様な価値観を見出すものだと思いますが、それが夫婦の場合、時間的にも物理的にもそのつながりは密になりますし、影響もされていきます。先ほどの例の他にも、初めて触れる音楽があったり、それまで知らなかった言い回しを使えるようになったり、夫と行きたい!と思って初めて訪れる場所があったりと、私の世界は夫のおかげで確実に広がっています。
結婚が家と家とを結ぶものだという考え方は、今の時代に合うものではないかもしれません。でも、夫と出会い結婚したことで、夫を支えてきてくれた人たちや励ましてくれた人たち、愛してくれた人たちとの繋がりができたのは確かです。それは家族や親戚に限らず、友だちだったり同僚だったり恩師だったりするわけですが、そうやって新たな人と人との繋がりをもたらし、世界を広げてくれるのが、結婚の持つ一つの側面なんだと思います。
結婚してよかったこと。今回は二つご紹介しました。
後編ではあと3つほど語らせていただきたいと思います。
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